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ぶどうの森・本店
森をつくるものたち③ ~薔薇と見つけた時のかけら~
2024.11.12
10月半ばを過ぎても暑さが居座り続けた2024年。
「ぶどうの森のバラ記念日」10月18日は今年も晴天に恵まれました
昨年の記事はこちらから
本店の周辺で増え続ける耕作放棄対策の一環として、ぶどうの森ではラシェットエリアを中心とする環境保全活動を行っています。
ヤチ*と呼ばれる1ヘクタールの耕作放棄地を開墾し、昨年は土地の北側に1,000株の薔薇を定植しましたが、今年は南側に着手。10月18日(記念日に合わせました!)から開始した定植は数日のうちに完了し、約800株の苗木が無事に土に根を下ろしました。
(「ヤチ」とその開墾に関する記事はこちらから)
昨年はなにもかもが手探りでしたが、2年目となればスタッフも要領をつかめたようで手際よく進みました。しかし、ここに至るまでの道のりは大変だっと思います。
苗木は今春購入したものを鉢上げして夏を越しましたが、一時は黒点病に冒されました。しかしスタッフの手厚い看病(?)により快方に向かい、今年の定植を迎えることができました。
愛情をこめて栽培された2023年定植組はすくすくと順調に成長中。来年はヤチの中央を走る道の左右に広がる薔薇畑を眺めることができそうです。
ぶどうの森のクラフトジン「森のジンA02」の詳細はこちらから
過去のかけら
・小さな祠(ほこら)
人の手が入るようになったヤチエリアでは新しい発見がありました。
2年前の再開墾時に倒れかけた小さな洞(ほこら)の存在を確認していましたが、今年元日の地震の後で周辺の様子を見回っていた折にその一部らしき石碑が見つかったのです。
地鎮祭でもお世話になった波自加彌(はじかみ)神社の田近宮司は、このエリアの岩出神社の宮司も兼任される方。土地の歴史について尋ねると下のようなお話をいただくことができました。
多分、それ(祠が見つかったエリア)は諏訪社のあった諏訪山だと思います。その隣りが弁慶山です。
地番としては、金沢市岩出町へ110番地となるはずです。
岩出神社は、飛鳥時代の645年、鎌ノ先三寸桜の木より御神体が出たので岩出の地名となりました。
諏訪山にあった諏訪社は、寛永3年(1626)に勧請(かんじょう)つまり神様をまつった神社で、明治15年に台風等で諏訪社が大破したので、同36年4月8日に岩出神社に合併しました。
添付画像の石祠には、元禄10年(1697)4月とありますが、石祠を祀った年月日ではないかと思います。
見つかった石の一部を組み合わせて、本の祠の形に近づけました。
その当時の人々が願いや祈りを寄せる姿が偲ばれるとともに、この石洞がかわらず今を生きる私たちの姿を見守ってくれていると思うと感慨深いものがあります。
今、見えるもの
・森と里の境界づくり
ヤチエリアではしばらく見かけなくなっていた猪たちですが、今夏から東側に伸びた坂上に足跡を見せはじめ、一部薔薇の畑が荒らされるようになってきました。数年前までは彼らが自由に闊歩するエリアでしたので不思議ではありません。真摯な気持ちで、改めて彼らとの境界線を作っていく必要があると感じています。
地元の猟師の方や金沢市にも相談して、いったん檻を設置して様子を見ることにしました。設置した10月上旬から1か月、まだ捕獲された猪はいません。
・戻ってきた人の賑わい
ヤチで薔薇の苗木が植えられている傍ら、道をはさんで接するラシェットエリアではぶどうの森農園の「芋ほり体験」が行われていました。今年で3年目、人気の恒例イベントになりつつあります。
ここは5、6年前に猪・マムシまでが現れるようになった場所でした。しかし、この日はたくさんの方の笑顔があふれていました。
次の姿を思い浮かべて
・新しい文化と経済活動
そしてラシェットエリアから北を望むと目に入ってくるのが、建設中の「ぶどうの森蒸留所」、来年の5月の竣工を目指しています。蒸留所まわりには、ハーブをはじめとする草花を植え、ヤチの薔薇とともに摘みとって蒸留した香りを楽しむ新ドリンクの原料として活用していく予定です。
この地に足を運んでくださった方が楽しく時間を過ごす姿、新ドリンクをたくさんの方に喜んでいただく姿、そしてさらにこの地が豊かになっていく姿。そんなたくさんの未来の姿が現実のものになることを確信しています。
どうか皆様には引き続きぶどうの森の活動にご注目とご支援をお願いいたします。