ニュース&トピックス

お知らせ

ぶどうの森・本店

[お礼とご報告]ぶどう直売所、閉店いたしました~2024 年のトピックと来年への抱負~

2024.10.21

10月も下旬になってようやく肌寒さを感じる2024年。「ぶどう園もと」の直売所は今年もたくさんのお客様にご利用いただき無事に閉店となりました。この場を借りてお礼申し上げます。
今回はぶどう園もとのスタッフを取材して聞いた内容をもとに、ぶどうの森の企画担当の視点で今シーズンを振り返ってみました。

10月21日のぶどう棚。品種により紅葉の進み方が異なるそうですが、全体に黄色い葉が目立ちはじめました。まもなく冬支度のための剪定作業がはじまります。

〇2024年の営業期間:7月19日~10月19日まで

ここ数年、気候変動により短くなっているぶどうの収穫期にともなって、直売所の店じまいも早くなる傾向にありましたが、今年は昨年(7/20~10/8)とほぼ同じ営業期間となりました。

閉店前日の「ぶどう園もと」の直売所。シャインマスカットのみの販売でした。

ただ、9月の終わりに売り場に並ぶスチューベンが今年はいささか早めに終了し、その代わりに人気品種のマイハートを見かけることが多かったのはやはり暑さの影響でした。今年は気温の日較差が小さく色づきが遅かったために、例年の時期からずれ込んだ品種がちらほら見られたようです。(特に赤色の品種)

〇2024年の出来栄え

完璧を求める栽培責任者の白井氏にとっては課題が散見したようですが、直売所のスタッフによれば味わいは上々!人気のぶどうにはファンのお客様がつき、推しの品種を度重ねてお買い求めいただく姿がよく見られました。
下は今年とりわけ評価が髙かった品種です

デラウェア

種なしぶどうとして1960年代を席巻した葡萄。近年はシャインマスカット人気に押されて栽培する農家はわずかになっています。しかし、その小さな粒の中に閉じ込められた甘さと香りが再評価され、じわじわと人気が高まっています。ぶどう園もとでは、スタッフの熱意と卓越した栽培センスにより昨年類まれなる高品質のデラウエアを産出しましたが、それは今年も健在。当店のデラウエアを熱望されるお客様が目立ちました。

開店時のトップバッターとして直売所をけん引してくれる品種。今年も高品質なデラウエアを多くお届けすることができまました。

スチューベン

9月末、閉店に近い時期の店先に並ぶこの品種が例年よりも早くに終売を迎えたのは、気候変動の影響だけでなく、この品種のファンの方が多かったということも大きな要因でした。避けられがちな種ありぶどうですが、酸味が少なく甘みが非常に濃厚なスチューベン種の高いポテンシャルを評価いただけたように思います。

マスカット甲府

爽やかな甘さと香りを放つ緑色の中粒ぶどうのマスカット甲府。美味しさもさることながら、実はこの苗をもっているのは、今や世界中で当園のみなのでした。そのためこの品種のぶどうを唯一手に入れられる場所として、ぶどうマニアの方が数多く当園に足を運んでくださいました。

クイーンニーナ

栽培責任者の白井氏が盛大に推す品種。2009年に発表された比較的新しい品種ながら、大粒で美しい赤い実には種がなく、酸味が少なく糖度も高く、比較的栽培もしやすい。つまり、農家にとって次世代の救世主(メシア)的存在。まだ知名度は低いようですが、今後市場での評価が高くなることは間違いないそうです。先見の明があるぶどう園もとでは早くからこの品種に注目しており、高品質なクイーンニーナを安定して栽培できるよう研究が進んでいるため、高い期待に応えられるものが来年もお届けできそうです

〇熱意・愛情あふれるスタッフたち

今年もたくさんの温かいお客様に恵まれましたが、そこには優秀で誠実な販売スタッフの存在があったからだ、と白井氏は言います。

直売所の運営は、栽培から担当する正社員だけでなく、夏秋の開店期間だけ駆けつけてくれるアルバイトさんに助けられています。彼らはぶどうについては素人ですが、毎朝その日店頭に並ぶ品種を試食して、その特徴のメモをとり、魅力を体感してから販売にあたるのが日課だったとのこと。そのため、自分の言葉で各々の推し品種をアピールすることができただけでなく、その積み重ねがお客様へ適切な提案をする販売技術へとつながっていったそうです。
お客様とスタッフの楽しそうな会話の風景を垣間見てきた企画担当にとっては、集まったスタッフの人柄の良さが、お客様に受け入れられたのではないかとも感じています。

直売所のバックヤード。店頭で販売スタッフがお客様に精一杯おすすめできるよう裏方でも奮闘中。

〇ぶどう園もとの栽培品種

今年もたくさんの品種がぶどう園もとを彩ってくれました。(品種のご紹介はこちらから)

・店頭に並んだ品種

  • デラウエア/7~8月 
  • アーリースチューベン/7月下旬~       
  • ヒムロッドシードレス      /8月上旬~     
  • 安芸クイーン/8月上旬~      
  • ニューヨークマスカット(種あり)/8月上旬~
  • ブラックビート/8月上旬~      
  • 藤稔(ふじみのり)/8月上旬~
  • マスカット甲府(種あり)/8月上旬~
  • シャインマスカット/8~9月     
  • 紅伊豆(種あり)/8月中旬~
  • リザマート(種あり)       8月中旬~
  • 紅バラード(種あり)/8月中旬~
  • 黄玉(おうぎょく)/8月中旬~ 
  • シナノスマイル/8月中旬~    
  • ゴールドフィンガー/8月中旬~
  • コウノスケ/8月中旬~          
  • ピオーネ/8月中旬~
  • ノースレッド(種あり)/8月中旬~
  • シャイニーレディ(種あり)/8月中旬~
  • 巨峰/8月中旬~    
  • ルビーロマン/8月中旬~       
  • ゴルビー/8月中旬~
  • クインニーナ/8月中旬~      
  • BKシードレス/8月下旬~     
  • マスカ・サーティーン/8月下旬~        
  • 銀嶺(ぎんれい)/8月下旬~  
  • スカーレット/8月下旬~        
  • スチューベン(種あり)/8月下旬~
  • 翠峰(すいほう)/8月下旬~  
  • 雄宝(ゆうほう)/8月下旬~   
  • ヌーベルローズ/8月下旬~   
  • ヴェルニーナ・ビアンコ/8月下旬~      
  • マニキュアフィンガー(種あり)/8月下旬~
  • タレレッド(種あり)/8月下旬~
  • マイハート/9月~    
  • マスカットノワール/9月~      
  • サニードルチェ/9月~          
  • シトロンネル(種あり)/9月~
  • 赤嶺(種あり)/9月~
  • バイオレットキング
  • コトピー
  • シトロンネル
  • 紅バラオー

・販売はしていないけど栽培している品種

観賞用またはレストランのお料理の一部として提供されているため、直売所には並びませんが、本店内で栽培されている品種です。

  • ウィンク
  • ジーコ

・来年の販売予定の新しい品種

ぶどう園もとでは、毎年苗木を購入し新しい品種の栽培に挑戦しています。苗木は約3年後に実をつけ始めますが、お客様に提供できる品質になるまでには定植からおよそ4-6年後。
そろそろ下の品種が育ってきたので、来シーズンにお届けしたいと思いながら丁寧に育てています。

  • 美和姫        8月下旬~        
  • マドンナの宝石           8月下旬~        
  • グロースクローネ         8月下旬~        
  • ほほえみ      8月下旬~        
  • 富士の輝き   9月~  
  • マニキュアフィンガ―

※マニキュアフィンガーはしばらく栽培をお休みしていた品種。
あらためて購入した苗が育ってきたので久方ぶりの登場になる予定です。

未熟な品種や一部形が崩れたぶどうなど、そのまま食べるに品質に至らないものはジャムなどの加工品にして洋菓子工房で販売しています。

〇来年へ向けて

偉大なる品種シャインマスカットは、ぶどうの小売市場とともに農家の作付けの面積も席巻しているそうですが、その陰には品質により異なる栽培技術が継承されにくくなっている現実があります。
そんな中で、50種以上の高品質のぶどうを作り続ける当園の存在は、今後の日本のぶどう栽培において非常に大きな意味をもつと自負しています。

また一方で、農業法人としての経営をより追及したいと白井氏は語ります。具体的には、品質と量の確保です。
わずかな人のための最高級品を追求するだけでなく、品質を確保しながらもたくさんの方が身近にお楽しみいただける良品をバランスよくお届けしていくこと。決して簡単なことではないけれど、それが確かな企業の運営と同時に食文化と地域への貢献にもつながるのだと話していました。

ぶどうの森のイベント「ぶどうの森マルシェ」では手ごろな価格で楽しめるバラエティカップを販売しました。産地で高品質な複数の品種をこのように用意できるのは「ぶどう園もと」ならではです。

最後に(企画担当者からの感想)

その日店頭にならぶ品種をチェックするために私もほぼ毎朝直売所に顔をだしましたが、今年も相変わらず大盛況。ピーク期間ではスタッフに話かけることが憚られるほどお客様でにぎわいました。
…が、実はかわるがわるスタッフが流行り病(コロナ)に倒れて欠員が絶えなかったため、個々の負担が大きかったことは間違いありません。しかしそれを乗り切ったのは、使命感とともに、お客様がお買い物を楽しまれる姿に多くの元気をもらったのだろうと察しています。
だからこそ、疲れ果てて満身創痍だった(?)白井氏がシーズンを振り返った際に、販売スタッフに感謝をしながら厚い信頼を寄せている姿にぶどう園もとの強さが見えた気がしました。

また、イタリアンカフェでは、カフェスタッフ考案のぶどう園もととのコラボメニューが大好評で、ぶどうの森・本店の総合力をお楽しみいただけたことは大変うれしいことでした。

イタリアンカフェ本店のスタッフが考案した「ぶどうの季節の満喫セット」に好評をいただきました。詳細はこちらの記事

未来を見ながら経営をしようとする白井さんに敬意を表するとともに、来年初夏に竣工予定の「ぶどうの森蒸留所」と「ぶどう園もと」のコラボレーションも楽しみにしたいと思っています。


最後になりましたが、期間中のご愛顧に重ねてお礼申し上げます。
来年の営業再開をお楽しみにお待ちくださいませ。

ラシェットエリアから望む建設中のぶどうの森蒸留所。来年の5月竣工予定です。

お得な会員サービス 公式LINEアカウント ぶどうの森ポイントカード