蒸留所の稼働にむけて

Vol.14
Vol.14

蒸留機の搬入と試運転

雪かきせずに春を迎えるかと期待した2025年1月の終わり。ツケを取り立てるように街を白く染める空のご機嫌をうかがい続けた2月上旬でしたが、10日には晴れ間を縫って2台の蒸留機が空っぽの新工場に無事搬入されました。ぶどうの森蒸留所の主役の登場です。
ひとつめは、ドイツはアーノルド・ホルスタイン社製の銅製の蒸留機。内部の液体に熱を加えその蒸気を集めて冷やして液化する「常圧蒸留」で力強い風味を集めます。もうひとつは日本製のステンレス減圧蒸留機。器内の気圧を下げて沸点を下げ低温で蒸留する「減圧蒸留」により、常圧蒸留に比べると繊細で雑味が少なく、すっきりとした味わいが得られるそうです。ぶどうの森蒸留所でつくるクラフトジン「森のジン」では、この2種の方法でさまざまな植物の香りを抽出し、それらを職人の感性で配合して世界観を表現する「ブレンデッド・ジン」を目指しています。
ぶどうの森がこの蒸留事業に着手したのは、耕作放棄地の活用と里山保全、地域経済の振興を第一の目的としながらも、素材の掛け合わせで類まれなる才を放ってきた福島ソムリエの蒸留家への挑戦に期待したからでもありました。

搬入日当日の新工場

蒸留機搬入日当日。できたばかりの蒸留所は、祝福されるように銀世界と晴天に包まれました。

2台の蒸留機の搬入と設置

2台の蒸留機の搬入と設置は、専門職の方が派遣されて2日がかりで行いました。

2月下旬、市民を疲弊させた長い寒波が去り雪解けが進むころ、蒸留機の試運転が行われました。使ったのは昨年農家さんからいただいて冷凍保管しておいた天草晩柑の果皮。抽出されたピュアな素材の香りに「上々のしあがり」と福島も満足げです。同時にこのフレッシュ感をどれだけ商品に閉じこめることができるのかという不安も生まれますが、それは1 歩進んだからこそ見えてきた次の課題だと受け止めます。
蒸留所から道をはさんだ東側には「ヤチ」と呼ばれるエリアが広がります。猪が自由に闊歩する耕作放棄地だったこの地は、3年前に再開墾され今は1㌶にわたって定植された約2,000株の薔薇たちが、寒い冬を越えて春を待っていました。つぼみがほころぶのは5月ごろ。摘み取った花びらを、この2つの蒸留機が新しいジンの原料として生まれ変わらせてくれる日が楽しみです。

ヤチの薔薇の苗木

春を待つヤチの薔薇の苗木。3月には小さなたくさんのトゲが元気よく空を仰いでいました。

本店の新しい魅力「MORI NO NIWA」エリア

ぶどうの森が目指すのは、耕作放棄地を活用する新しい経済活動で地域に活気を作ること。
その拠点となるエリアとして、蒸留所とその周りに設ける3つのガーデンに「MORI NO NIWA」と名付けました。
ここで栽培する花やハーブの蒸留水をものづくりに積極的に活用していくとともに、皆さまには散策路としてお楽しみいただきます。

ラシェットのランドスケープも担当してくれた
岩村卓弥氏がデザインしてくれました。

MORI NO NIWA を
構成する3つのガーデン

それぞれのエリアではいずれもエディブル(可食)な植物をセレクトして播種。
自然環境での適者生存を見守りながら栽培するため、変わりゆく様を追いかけるのも今後の楽しみのひとつかも?!

フラワーガーデン

蒸留所と道をはさんで南側に接する三角形のエリアで、手つなぎの路とMORI NONIWAがつながる部分。菊、菜の花、コスモスなど、四季折々の草花が楽しめる庭。

ハーブガーデン

蒸留所に隣接する温室内のエリアで、ミントやスパイス、柑橘の果樹が中心。爽やかな香りに包まれてリフレッシュできる空間に。ゆくゆくはここでワークショップも開催する予定です。

ボタニカルガーデン

蒸留所から東側のヤチに伸びるエリアで、最初は約50種類の香木や多年草を植えます。山と用水から引きこんだ水の流れから、新しいビオトープが生まれることを期待しています。

MORI NO NIWA を構成する3つのガーデン・完成イメージ

手つなぎの路

本店とMORI NO NIWA エリアとを結ぶ約250mのさんぽ路。手をつないで歩きたくなる穏やかな風景が広がっています。

ただいま開発中!
MORI NO NIWAの新商品

3月中旬から試作が始まりました。申請中の酒造免許や試作の進み方によりますが下のようなスケジュールを目標に開発を進めていきます。

森のジン
薔薇の蒸留
6月
末頃

森のジン

(アルコール/ノンアルコール)

ぶどうの森蒸留所で初めて作る設立記念の2025年製。
これまでは積丹スピリットさんとのコラボ品でした。

7月頃

ローズスパークリング(仮名)

MORI NO NIWAの隣の「ヤチ」エリアで栽培した摘みたての薔薇を蒸留してつくります。香り高いプレミアムソーダになる予定。

8月頃

森のジンソーダ(仮名)

(アルコール/ノンアルコール)

森のジンの美味しさを引き立てる専用ソーダでわってボトリング。希釈せずにそのまま楽しめる美味しいジン・ソーダ。

40周年記念ロゴも担当してくれた
久松陽一氏がデザインしてくれました。

MORI NO NIWA ロゴのご紹介

MORI NO NIWAでクリエイティブディレクションをお願いしたのは久松陽一氏です。創業40周年で「ぶどうの木」から「ぶどうの森」へと名称変更したときのコンセプトを引き継ぎながら、「ものづくり、ものがたり、もりづくりがある蒸留所」として、岩村氏のランドスケープも含めた世界観をこのロゴで表現してくれました。

MORI NO NIWA ロゴ

ぶどうの森 米田総料理長がシュヴァリエに就任!

魚介やジビエ、ワインだけでなくチーズにも精通する米田シェフ。その活躍が認められ、フランスで創設された「フランスチーズ鑑評騎士の会」より「シュバリエ」の称号を授与しました。

米田シェフのおすすめチーズを楽しめるお店はここ!
チーズ鑑評騎士のセレクション

[タパス エ バール]

2,500円(税込)

米田シェフが厳選した5種チーズ(ハード、青カビ、白カビ、ウォッシュ、ナチュラル)を盛り合わせました。それぞれの個性を引き立てるドライフルーツと自家製パンと共にご用意します。その日によりご用意するチーズの種類が変わります。

ソーセージHazicoとラクレットチーズ

[イタリアンカフェ 本店]

1,600円(税込)

富山県黒部市で作られるラクレットチーズを使用。高い技術と丁寧な仕事にほれ込んだ米田シェフが作り手さんに直接いただいたレア素材です。ジビエ使用の旨味たっぷり自家製ソーセージのHazico(ハジコ)との協演をお楽しみください。

シュヴァリエの旗
米田総料理長

総料理長 米田岳人 シェフ

フランスチーズ鑑評騎士の会

フランスの伝統的チーズ作りと、チーズに携わる人を支援する目的で設立された世界的な団体。日本支部では、長年フランスチーズの普及啓蒙に貢献し所定の推薦を受けた候補者の中から、毎年30名前後を騎士に任命しています。騎士らは称号を与えられた後も、フランスチーズの伝統とその素晴らしさを広く伝達する活動を行っていきます。

カゴメ ナポリタンスタジアム「個性派ナポリーグ」でゴールドに選出!

カゴメ株式会社さんが主催するナポリタンの全国大会「ナポリタンスタジアム」。小松シェフのエントリーメニューがエリア大会で「ゴールド」を獲得し、全国大会に進出しました! 勝ち抜きレシピをお店でもどうぞ。

ブルーベリーナポリタン

7月末までの期間限定

[イタリアンカフェぶどうの森 各店]

1,650円(税込)

存在感を放つのは、心地よい食感のスギヨさんの「ビタミンちくわ」。塩漬けした自家製能登豚パンチェッタの旨味が味わいに奥行きをもたせます。
トマトソースには能登町ブルーベリー、ぶどうの森の「ぶどう畑のジュース」も加えてさらに風味豊かに。素材に耳を傾け続ける小松シェフの真骨頂です。

詳細はこちらから

めざせ! 日本代表!

小松稔季 シェフ

小松稔季 シェフ

全国大会は、4月25日(金)~5月31日(土)の期間、カゴメ特設サイトでの投票により行われます。ぜひ皆様の応援もよろしくお願いいたします!

ナポリタンスタジアムの詳細はこちらから

マルコ・サントスコイ シェフ

マルコ・サントスコイ シェフ

メキシコの風、フレンチの香り。レ・トネルの美食を気軽に味わう

[レストランぶどうの森 レ・トネル]

ランチ 6,000円 / ディナー 8,000円
(※税込・サービス料別)

4月下旬~8月末頃までの月・火・水曜日(祝日を除く)

ぶどう園にたたずむ坂茂氏設計の温室という唯一無二の空間。耕作放棄地を活用した畑の恵みと共に、ガストロノミー(美食)を追求するのはメキシコにルーツをもつマルコシェフ。
「ぶどうの森」が目指す多様性と地方の魅力を表現するレストランがレ・トネルです。ここでしかできない食体験をもっと広くお楽しみいただきたいと考えたシェフが、気軽に体感いただけるメニューを期間限定でご用意します。

金・土・日曜日・祝日は通常のコース(要予約)をご案内いたします。

詳細はレ・トネル特設サイトでご案内いたします。